物理学実験3
17.トンネルダイオード



2.発振の測定〜Self excited Oscillation〜

 このような発振はなぜ起こるのであろうか?まず最初に定性的に考えてみる。

 右図は静特性の実験で得られた曲線を模式的に表したものである。まず電源が入るとトンネルダイオードの 電圧は上昇する。

 いま電源電圧はV0なので、P点まで達したときにさらに電圧を上げようとする。 ところがトンネルダイオードにかかる電圧がこれ以上上昇すると、負性抵抗領域のおかげで流れる電流量が 減ってしまう。ここでコイルは今まで電流の増加を食い止める方向に電圧をかけていたが、 電流量が減少し始めると、その電圧は逆転する事になる。すると回路のキルヒホッフ則を満たすために 、トンネルダイオードの電圧はC点までジャンプするという現象が起こる。

C点からは電圧が電源電圧に向かってゆっくりと減少していく。V点に達したときに、さらに電源電圧に近づこうとすると、 負性抵抗領域によって電流量が増加するとこになる。ここで、またコイルの電圧が反転し、A点へとジャンプする。

 これの繰り返しにより、発振が起こると考えられる。静特性の実験でも負性抵抗領域の電圧を 測ろうとするときにこの発振現象がおきたため、グラフが不連続になったものと思われる。